ローマには、地下にローマ時代の遺跡がある教会がいくつかあります。コッレ・オッピオ公園の端、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の近くにあるサンティ・シルヴェストロ・エ・マルティーノ・アイ・モンティ聖堂は、一見バロック期に立てられた普通の教会のように見えますが、実は奥の深い教会なのです。

立派な柱で仕切られた三廊式の教会内部は、典型的なバロック様式で、側廊にはニコラ・プッサンの義弟ガスパール・デュゲやローマを中心に活躍していたフィリッポ・ガリアルディ作のフレスコ画があります。
しかし、今回の目的は、バロック期ではありません。主祭壇の真下に降り、今は小さなプレセペがたくさん展示してあるクリプタ左奥にある階段をつたってさらに下層へと進みましょう。

なんと、地下には初期キリスト教時代の旧教会跡となっており、当時の柱や彫刻、フレスコ画、モザイクなどがあります。
ここは、かつて紀元2世紀ごろから初期キリスト教徒たちが集まって祈っていた、エクイツィオという人のプライベイト不動産でした。313年にコンスタンティヌス帝によってキリスト教が公認されると、当時のローマ教皇、シルウェステル1世はここを教会としました。





さらに、この初期教会の下には、紀元3世紀の倉庫跡を見ることができます。このことから、ここはもともと商業施設だったのではないかと考えられています。



現在立ち入りできる部屋は1部屋だけですが、同じ大きさのほぼ正方形のスペースが3部屋あり、それぞれ天井の真ん中に明り取りか物品の出し入れに使用していたと思われる四角い穴が空いています。
最後に、紀元3世紀の白黒のモザイク床が残された、聖シルヴェストロの礼拝堂にご案内します。
このローマ時代の部屋は、紀元前6世紀にローマ教皇シンマクスによって聖シルヴェストロに捧げる礼拝堂になりました。漆喰によってバロック様式の装飾が施された壁龕には、聖シルヴェストロと教皇シンマクスのモザイク画ありましたが、今はここにはありません。その代わり、17世紀、この礼拝堂をバロック様式の装飾を施した際に、壁龕の上に聖マリアと教皇シンマクスのモザイク画が設置されました。しかし、この聖母像をよく見てください。何か少し気持ち悪くないですか?実は、男性なんです!? もともとローマ教皇聖シルヴェストロでしたが、間違いか、それともわざとか、いつの間にか聖マリアに変身していたのです。3本指を立てて祝福する姿は、典型的なローマ教皇のしぐさです。



Basilica dei Santi Silvestro e Martino ai Monti
Via del Monte Oppio,24 Roma