初期キリスト教時代の珍しい聖窟が、ローマから車で30分くらい南西に下ったところにあるアルデアにあります。普段一般公開していないのですが、1日だけの特別見学会があったので、予約満杯だったところを無理やり拝み倒して参加させてもらいました。ローマ建国の祖、トロイアの英雄アイエネスの一団が船でたどり着いた海岸の近くに、繁栄した都市がありました。それが、正にアルデアです。つまり、ここは神話の時代から存在した集落なのです。

旧市街地がある丘から少し離れたところに小さな墓地があり、そこに一風変わった小さな教会、聖マリーナ教会があります。

中は薄暗く、湿気のためにフレスコ画による壁画は痛みがひどく、ほとんど消えてしまっています。この教会が1191年に建立された場所はもともと川が流れていたので、未だに湿気が多く、壁はカビだらけです。

祭壇の後ろに、聖マリーナの礼拝堂があります。ここは、もともとローマ時代のニンフェウムでした。今でも当時の名残である筒形ヴォールトの格天井やニッチの貝モチーフなどを見ることができます。

ヴォールトの格天井 
ニッチ(キリスト像?も確認できる)
かなり痛みが激しいですが、貴重なビザンティン様式のフレスコ画も残っています。
アルデアに残る言い伝えです。ある修道院に、マリーノという修道士がいました。ある日村の娘の一人が知らずして妊娠していることが発覚し、マリーノ修道士に疑いがかけられました。そのため、彼は黙って修道院を後にし、この洞窟で隠遁生活を始め、そこで余生を過ごしました。彼の死後、仲間の修道士たちが埋葬するために遺体を浄めようとした時、実は男装した女性であったことが明らかになりました。それが、聖マリーナです。

祭壇の下には、ローマ時代の墓も見つかっています。

聖マリーナ教会を後にし、次の目的地の地下礼拝堂へ向かいました。

教会跡の発掘現場に備えられた入り口の階段を降りると、そこは鮮やかなフレスコ画が施された地下礼拝堂でした。この礼拝堂は、1964年に偶然発見され、アルデア地方における初期キリスト教コミュニティーを知る上で、とても貴重な遺跡です。12世紀のビザンティン様式によるフレスコ画の保存状態も非常に良く、美術史的にも価値があります。

聖ゲオルギウスと聖デメトリウスまたは聖テオドーロ 
栄光のキリスト 
王座の聖母子と二人の聖女
ここも、もともとローマ時代に掘られた地下室を初期キリスト教徒たちが再利用したものですが、未だに何のための地下室だったのかはわかっていません。

中世時代に拡張された地下通路もあります。

天井に残る花形装飾 
階段通路天井

